院長の日々雑感 インフォームドコンセントの重要性 -十分な説明を受けていますか?-


初診の患者さんからよく聞くフレーズに、“前の歯医者さんでこの歯を削られた”とか“抜かれた”というものがあります。私が歯科医師として一番悲しくなるのが、この言葉を聞くときです。これは歯科医師に対する不信感の表れであり、我々歯科医師は真摯に反省すべきです。
いうまでもありませんが、治療行為に入る前に我々歯科医師は患者さんから歯科医院に来た理由、それまでの経緯、全身状態などについて詳しく聞かなければいけません。その際、今困っていること、過去の経緯だけでなく、診療を受けるに当たって疑問に思っていることや希望などを、きちんと伝えましょう。患者さんのお話をきちんと聞いてくれない場合は、最初から診療を受けるべきではありません。たとえ診療椅子に座った後でも、毅然と帰る勇気が必要です。
診療開始するに当たっては、痛みの原因やその根拠、さらには治療方法のリストとそれぞれの利点・欠点などについて、模型やレントゲン、症例写真などを用いてきちんと説明を受けた上で、最終的な治療方法を歯科医師と相談しながら患者さん自身が決定しなければなりません。もちろん疑問な点はどんどん質問することが大切です。その際、すべての診療行為に必ず伴うリスクについての説明を受けるべきです。“絶対大丈夫”とか“一生持ちますよ”などという歯医者さんは避けた方が無難です。付け加えると、説明を受ける際、患者さんは背もたれが倒された椅子に寝た状態で、医者が顔の上から説明をするようではいけません。説明をするということは、医者と患者が人間と人間との信頼関係を築く大切なステージです。お互いがきちんと相対して、話し合うことが重要です。
それでも、不安があるときには、別の歯医者さんの意見を聞く(セカンドオピニオン)のも良いでしょう。自分の力量に自信を持っている歯科医師は、セカンドオピニオンを聞きたいという患者さんのリクエストに笑顔で応えるはずです。
このような患者さんへの情報提供の方法も進化しています。院内LANを用いたデジタルレントゲンシステムはそのひとつです。

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レントゲンによる説明

デジタルレントゲン

デジタルレントゲンシステム

 

このシステムは、撮影したデータをこれまでのようにフィルムに現像するのではなく、デジタルデータとして院内に設置されたサーバーに保存し、患者さんの座っている各診療椅子に設置されたモニタ上に映し出すことができます。そこでは、画像の拡大や画像処理により詳しい説明ができるだけでなく、過去に撮影したデータとの比較も容易に行うことができます。また、デジタルカメラで撮影した口の中の写真も同様に管理できます。
さらに、このシステムの最大のメリットは、好感度のデジタルCCDセンサを使うので、撮影の際患者さんが受ける被爆線量が従来の1/2以下で済むことです。
十分な情報提供と十分な納得の上で、診療を受けることが絶対的に必要です。

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